外壁の赤外線調査のメリットは? 費用感や打診調査との比較

   

コラム, 外壁タイル調査

近年、外壁のタイル調査で注目されている方法として赤外線調査があります。赤外線調査の認知度は徐々に上がってきていますが、その具体的な方法やメリット、そしてなぜ赤外線調査が注目されているのかということは意外と知られていません。この記事では、赤外線調査のメリットの紹介から、費用の相場、打診調査との違いについて紹介していきます。

 

外壁調査の重要性

建築基準法第12条による義務付け

外壁調査の重要性は国土交通省によって裏付けられています。平成17年、国土交通省は「既存建築物における外壁タイル等落下防止対策について」という文書を発表し、建築基準法12条の制度を改正しました。その内容は、

・2008年4月1日以降で竣工または外壁改修から10年以上経過した建物

・特定建築物定期調査(部分的な打診や目視)で異常箇所が見つかった建物

・最後に外壁の全面打診調査を行ってから10年経過した建物

は全面打診や目視等の調査を行わなければいけないというものです。

 

外壁の劣化はどのように起こるのか

外壁は日光や風雨に長い年月さらされるとひび割れや白い粉が浮き出す白化現象を起こして劣化してしまいます。さらに劣化が進むとこれらだけではなく、

 

・剥離

・タイルの浮き

・外壁の爆裂

・目地の劣化

・欠損

 

が起こってしまいます。これらはいくら耐久性のある鉄筋コンクリートの建物でも避けられません。また、タイルやモルタルなどの外壁材は剥離が進むと外壁から完全に落下してしまいます。近年はこの外壁落下による事故が多発しており、落下防止対策を要請する行政機関も出ています。

外壁の赤外線調査とは?

赤外線調査はサーモグラフィカメラを利用して調査を行います。撮影した画像から、温度変化で生じるコンクリートの浮きやモルタルなどの仕上げ材の剥離・劣化を特定します。赤外線調査で特定できるものの一つが外壁タイルの浮きです。外壁タイルの浮きが生じると背面の空気層で熱抵抗が生じてしまい、浮きが出ていない部分との間に温度差が出ます。このように温度差からタイルの劣化を見抜くことが赤外線調査の特徴です。

以前、外壁診断法は打診棒によって壁を叩く打診調査のみとされてきましたが、2022年1月より国交省住宅局建築指導課によって赤外線調査による診断も外壁診断法の一つとして正式に認められるようになりました。このこともあり、赤外線調査法は打診調査法に代わる外壁調査として大きな注目を浴びているのです。

 

赤外線調査と打診調査の違い

打診調査とは?

打診調査とは、打診棒もしくは打診用のハンマーを使って行われる調査です。これらを利用して壁を叩き、その感触や音を聞き分けることで浮きや欠陥を探していくのです。さらに、業者が実際に壁を至近距離で目視しながら調査するため、目で確認しなければ気づくことのできないひび割れや損傷も見つけることができます。この調査は高所で作業を行う必要があるため、足場を組むかロープアクセスで行うことが一般的です。詳しい情報はこちらの記事で知ることができます。

外壁タイルの打診調査が信頼できる理由と適切な調査方法のご紹介|株式会社ユニース

 

赤外線調査と打診調査の違い

赤外線調査と打診調査の最も違う点は壁の見方です。赤外線調査では写真を通して壁の状態を確認しますが、打診調査では実際に壁を叩いたり目視して状態を確認します。そのため、打診調査の方が信頼度は高くなります。その代わり打診調査では高所での作業が不可欠なので足場を組んだりするなどで時間と費用がかかりやすいです。それに対して赤外線調査はサーモグラフィーカメラと機材で写真を撮るだけなので時間も費用も抑えることができます。

 

赤外線調査のメリット・デメリット

赤外線調査のメリット

コストが安い

この調査では赤外線カメラで外壁を撮影しますが、撮影のほとんどが地上で行われます。つまり、打診調査のように足場やロープを組んで高所での作業をする必要がないのです。さらに、人員も外壁の撮影をする人のみだけで済むので人件費も安く済ませることができます。

騒音が出ない

打診調査は壁を叩いて出た音から浮きや異常箇所を特定しますが、その調査の方法からどうしても打診音などの騒音が発生します。ですが、赤外線調査において鳴る音はせいぜいカメラのシャッター音ほどなので、騒音トラブルなどを気にする必要はありません。

調査が短期間で済む

赤外線調査では、足場やロープといった特殊な設備が必要ありません。必要なのはカメラと撮影に必要な機材のみです。そのため、打診調査に比べて準備、後片付けなどの時間がかなり短縮され、短期間で調査を終えることができるのです。

赤外線調査のデメリット

調査精度が安定しない

赤外線調査ではカメラを通じて外壁の破損具合を調査します。打診調査のように目視で確認をしないため、カメラが感知しなかった浮きや異常箇所があった場合、気づかずに調査が終わる恐れがあります。

天候に左右されやすい

サーモグラフィカメラは天候などの使用する環境に大きく左右されます。極端に温度が高かったり、低かったりすると撮影自体ができなくなります。さらに、強風などが当たると特に浮きが出ているわけでもないのにそこの部分だけ気温が下がるため、正確な結果が出なくなってしまうのです。

立地条件に左右される

赤外線調査をする際はある程度外壁から距離を取らなければ撮影できません。そのため、外壁のすぐ隣に他の家の壁が建てられている場合には赤外線調査自体ができず、他の方法で調査をせざるを得なくなります。

 

外壁の赤外線調査の費用

赤外線調査の費用相場は1㎡あたり約120〜350円となっています。撮影費に加えて、画像解析費用などの諸経費が加算されて費用が決定されていきます。追加でかかるものとして現地撮影費用や機器使用料などが想定されます。

最低金額は打診調査に比べて大して変わりませんが、赤外線調査はビルの面積や高さの影響をあまり受けません。そのため、調査を行う面積が広いほど赤外線調査の方が打診調査よりも安価で調査を行うことができます。

 

コストを抑えた外壁調査ならロープアクセスによる打診調査もおすすめ

以上が赤外線調査のメリットや費用、打診調査との比較の説明になります。今回は赤外線調査についての説明を重点的に行いましたが、我々ユニースはロープアクセスによる打診調査も得意としております。ロープアクセスは足場を組む代わりに屋上からロープを垂らし、実際に人が上下移動することで打診調査を行うので、足場を組むよりも安全かつローコスト、しかも高品質な打診調査を行うことができます。

 

マンション・ビルの外壁タイル調査 – 株式会社ユニース | ロープアクセス(ブランコ)による無足場工法での高所特殊作業を専門とする会社

 

このほかにもユニースは正確な報告書の作成や建設関係の裁判調停資料の調査などさまざまなサービスを行っております。この記事を読んで、ユニースや赤外線調査、ロープアクセスなど外壁調査についての疑問が少しでも浮かんだ方はぜひ我々にお問い合わせください。ご相談お待ちしております。

お問い合わせ – 株式会社ユニース | ロープアクセス(ブランコ)による無足場工法での高所特殊作業を専門とする会社