外壁全面打診調査の対象となる建物とは? 法律で義務付けられた打診調査について紹介

   

コラム, 外壁タイル調査

ロープアクセスによる外壁調査・補修・改修工事を手がける株式会社ユニースです。

建物の安全性を確保するために、ビルやマンションなどの大規模建築物は定期的に調査をしなければなりません。この調査は通称「12条点検」と呼ばれ、建築基準法によって調査頻度や調査項目などが細かく規定されています。

今回は12条点検の調査項目にも含まれる外壁全面打診調査について詳しく解説していきます。

 

外壁全面打診調査とは?

建築基準法は幾度となく改正を繰り返していますが、外壁調査についての目立った改正としては、平成20年に外壁の全面打診調査が義務付けられたことが挙げられます。改正の経緯としては、築年数の経った大規模建築の外壁材の剥落による事故が多発したことがあり、法改正によって事故を未然に防ぎ、歩行者の安全を守ることが一層強化されました。

 

外壁全面打診調査の対象となる建物について

定期的な調査が必要となるのは特定建築物の基準を満たす場合

外壁全面打診調査の対象となる建物は特定建築物として指定されています。特定建築物は主に不特定多数の人々が利用する大規模建築物であり、利用者の安全を守ることが目的として指定されています。

特定建築物とされる建物は、特に重要とされるものについては政令で一律に指定されていますが、自治体や地方行政によっても基準が変わってくるので個別に確認が必要です。

自治体など地方行政によって異なる場合も

先述の通り、特定建築物とされる建物の基準は自治体によって異なりますが、一例として、東京都の場合を以下にご紹介します。

・劇場、映画館、演芸場

・観覧場、公会堂、集会場

・旅館、ホテル

・百貨店、マーケット、勝馬投票券発売所、場外車券売場、物品販売業を営む店舗

・地下街

・病院、診療所

・児童福祉施設等

・学校、学校に付属する体育館

・博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場、スポーツの練習場、体育館

・展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店、飲食店

・複合用途建築物

・高齢者、障害者等の就寝用に供する共同住宅または寄宿舎

・下宿、共同住宅、寄宿舎

・下宿、共同住宅または寄宿舎の用途を含む複合建築物

これらの中でも、さらに階数や面積についての条件があるので、それぞれ確認が必要となってきます。

 

外壁全面打診調査が必要な範囲

外壁全面打診調査が必要な範囲については、建築基準法第12条により「落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分」とされています。(下図)

 

一般的な通路等

 

庇等がある場合

 

花壇等がある場合

外壁打診調査の方法

仮設足場

ビルやマンションの大規模修繕を前提とした外壁打診調査では、調査後の修繕工事を想定して足場を組んで行うことが一般的です。長期間に渡って安定した足場があることによって安全性が保たれ作業範囲も広がりますが、調査費用に加えて足場の費用がかかることや、工期が長くなるというデメリットがあります。

 

ロープアクセス

足場を組まずに、ピンポイントで調査箇所に行くことができるのがロープアクセスです。吊元に固定されたロープをつたって人が降りていく方法なので、身一つで調査することができます。足場が組めない狭所や複雑な形状の建物でも調査が可能です。調査範囲が限られるので大規模なビルやマンションには向きませんが、調査箇所が限定されている場合や中小規模の建物の調査には向いている方法です。

 

赤外線

赤外線による外壁調査も、打診調査と同等の調査効力があると認められています。赤外線調査では、赤外線カメラを搭載したドローンによる撮影か、地上からの人による撮影のどちらかの方法になります。足場を組む必要がないというメリットがありますが、建物からの距離や気象条件などによっては撮影が不可能な場合もあります。赤外線カメラで撮影された画像は専門スタッフが解析して不具合や劣化のある場所を特定していきます。

 

高所作業者

高所作業車による調査方法もあります。車両に搭載されたリフトに人が乗り、調査箇所までアプローチして打診調査を行います。車両移動することにより足場を組むことなく広範囲に及ぶ調査ができます。道路規制および利用制限等の条件により準備期間が必要となることや、作業車が進入できない道路では調査が不可能となるなどのデメリットがあります。

 

ゴンドラ

ビルやマンションの屋上に設置した吊元から専用のゴンドラを吊るし、ゲージに人が入って調査する方法です。特殊技術を用いて人が直接外壁にアプローチするという意味ではロープアクセスと同じですが、ロープアクセスよりも使用機材が多く大掛かりな作業となるので、無足場工法の中では比較的コストが高いというデメリットがあります。

 

ブランコ

ゴンドラと同様に、屋上に設置した吊元からブランコを吊るし、直接人が乗って調査する方法です。ロープアクセスほど安全基準が確立されていないので、近年ではあまり用いられていない方法です。

 

外壁打診調査の流れ

問い合わせ

外壁打診調査業者を選定し、何社か問い合わせてみましょう。信頼できる会社を選ぶためには、会社の実績や費用だけではなく、社員のスキルや対応能力なども併せてみるようにしましょう。

 

見積もり

候補として挙がっている数社に見積もりを依頼して、比較してみましょう。安い/高いだけで判断するのではなく、調査項目や内訳などを精査し、内容に見合った適正価格になっているかどうかで判断しましょう。

 

打診調査

業者を選定したら、建物の現地調査を行ってから調査方法を決めます。調査方法が確定したら、打診調査実施にあたってのスケジュールを立てます。足場を組む場合は、仮設足場の設置と解体の期間が前後にプラスされるので全体の工期が長くなります。打診調査の実施時は可能な限り立ち会うようにしましょう。

 

報告書を作成してもらう

外壁打診調査の診断結果を報告書として作成してもらいます。内容をチェックし、調査報告書を特定行政庁に提出します。診断結果によって不具合や劣化箇所が見受けられた場合は、早急に修繕工事に取り掛かります。

 

まとめ 外壁打診調査はロープアクセスがおすすめ

外壁打診調査の方法は様々あるので、調査対象となる建物の形状や立地条件などから最適な方法を選ぶことが重要です。

私たちユニースはロープアクセスによる調査を得意としています。ロープアクセスによる調査は、安全面において不安をもたれる方もいらっしゃるかもしれませんが、ロープアクセス の活用が盛んな欧米では、足場やゴンドラよりも安全な技術であると認識されています。実際の作業現場ではレスキュー隊の作業時と同レベルの安全性が確保され、高度なトレーニングを受けた熟練の調査員が作業を行います。また、ロープアクセスは足場を組むことがないので工期が短く、費用も比較的安く抑えることができます。

外壁打診調査を検討中のビルオーナー様、管理会社様は、実績豊富で報告書の精度も高いユニースへぜひ一度ご相談ください。

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