賃貸物件で雨漏りが繰り返す原因とその対処法とは?
コラム 2025.5.15
賃貸住宅に住んでいると、まれに起きる「雨漏り」のトラブル。中でも「何度修理してもまた雨漏りが起きる」といったケースは、住人にとって大きなストレスとなります。
この記事では、賃貸物件で雨漏りが繰り返す原因や見逃されがちな要因、正しい初期対応と管理会社への連絡の仕方、さらに修繕義務や保険対応まで詳しく解説します。
繰り返す雨漏りに悩まされている方は、ぜひ最後まで読んでトラブル回避のための知識を身につけてください。
賃貸物件で雨漏りが繰り返す主な原因とは?
ここでは、雨漏りが何度も起こる主な原因について解説します。建物の老朽化や防水の劣化など、時間とともに進行するトラブルが関係しています。
屋根や外壁の老朽化が進んでいるから
屋根や外壁は、毎日の雨や風、紫外線にさらされています。そのため、年月が経つと防水機能が低下し、ひび割れや剥がれが起きやすくなります。
ひとたび防水層が傷むと、雨水が建物内部に浸入しやすくなり、雨漏りが発生する原因となります。
築年数の経った物件では特に注意が必要です。
点検やメンテナンスが行き届いていない物件では、繰り返し雨漏りが起きる可能性が高くなります。
ベランダやバルコニーの防水加工が劣化しているから
ベランダやバルコニーも雨にさらされる場所のため、防水加工が必要です。防水層が剥がれたり、ひびが入ったりすると、雨水が床の隙間から下階へ染み出すことがあります。
とくに排水口が詰まっていた場合、水があふれて部屋の中まで浸水するケースもあります。
ベランダの水漏れは目に見えにくいため、気づかないまま被害が広がることもあります。
こまめな点検と掃除が雨漏り防止には欠かせません。
窓やサッシまわりのシーリングが切れているから
窓枠やサッシの周りには、雨の侵入を防ぐ「シーリング(コーキング)」と呼ばれるゴム状の材料が使われています。
このシーリングが劣化してひび割れると、雨水がそこから侵入して室内に漏れることがあります。
風の強い雨の日に限って雨漏りがするという場合、この部分の劣化が疑われます。
見た目に変化がなくても、築年数に応じて点検が必要です。
天井裏や壁内の配管から漏水しているから
屋根や外壁に異常がないのに雨漏りが起きる場合、天井裏や壁内の配管の劣化や破損が原因となっていることもあります。
雨の日に限って起きるわけではなく、排水管の不具合による漏水と混同されやすいのが特徴です。
配管の水漏れは、見つけるのに時間がかかることが多く、被害が広がりやすいです。
異変を感じたら早めに管理会社に報告することが重要です。
賃貸物件で雨漏りが繰り返すときの見逃しがちな原因
一般的な原因のほかにも、見逃されがちな原因があります。ここを理解しておくことで、再発の防止につながります。
台風や集中豪雨のときだけ発生する部分的な雨仕舞の不備
普段の雨では問題がなくても、風が強く吹き込む台風や横殴りの雨の場合にだけ雨漏りが起こるケースがあります。
これは、屋根の端や外壁の一部など、雨仕舞(あまじまい:雨の入り口を防ぐ施工)の不備によるものです。
目視ではわかりにくく、建物の構造に詳しい専門業者でなければ特定できないことも多いです。
特定の天候条件で雨漏りする場合は、この点を疑いましょう。
エアコンや換気口まわりからの逆流や隙間からの水侵入
エアコンの配管の穴や換気口のまわりも、雨水の侵入経路になることがあります。
特に、壁に穴を開けたあとにシーリング処理が甘い場合、そこから雨が侵入して室内に漏れることがあります。
気づきにくい場所ですが、壁のシミや水音が聞こえたら早めのチェックが必要です。
防水テープや補修材での対応も可能ですが、専門家の確認が安心です。
共用部分の排水設備の詰まりが原因になっている場合
マンションやアパートでは、建物全体の排水設備が共用になっていることが多いです。
排水口にゴミが詰まって水が逆流すると、上階や隣室から水が流れ込んでくることもあります。
こうした原因は住人の力だけでは解決できないため、早めの報告と対応が必要です。
管理会社による定期清掃や点検が重要です。
上階の住人のベランダ排水のトラブルが影響しているから
上の階のベランダ排水口が詰まっていたり、プランターから水があふれていたりすると、その水が下階に染み出すことがあります。
排水不良による雨漏りは、上下階の住人とのトラブルの原因にもなりやすいです。
トラブル防止のためにも、原因がどこにあるのかを冷静に見極める必要があります。
上階の住人と話し合う場合は、管理会社を通して連絡を取りましょう。
賃貸物件で雨漏りが繰り返すときの初期対応と基本の対処法
雨漏りが起きたとき、すぐにできる対処を知っておくことで被害を最小限に抑えることができます。ここでは、入居者が行うべき初期対応と基本の対処法について解説します。
まずは水の侵入箇所を特定する
どこから水が入ってきているのかを見極めることが最初のステップです。天井、壁、窓周辺など、濡れている部分や水が垂れている場所を観察しましょう。
ただし、目に見える場所が必ずしも水の侵入口とは限りません。水は建物内部を伝って別の場所に現れることもあります。
素人判断が難しい場合は無理をせず、早めに専門家に調査を依頼しましょう。
侵入口を特定しておくことで、修理の効率も上がります。
バケツやタオルで応急処置を行う
雨漏りを見つけたら、まずは被害の拡大を防ぐためにバケツやタオルで水を受けたり吸収させたりしましょう。
床や家具が濡れないようにビニールシートを敷いたり、新聞紙を重ねたりするのも効果的です。
水滴がたれる音が気になるときは、バケツの中に雑巾を入れておくと静かになります。
感電の恐れがあるため、電源コードやコンセント周辺は必ず避けてください。
被害状況の写真を撮影して記録する
水漏れの様子や被害状況は、スマートフォンなどで写真や動画に記録しておきましょう。
時間帯、天候、水の広がりなどもメモに残しておくと、後々の保険申請や管理会社とのやりとりで役立ちます。
被害を証明する資料として非常に重要な情報になります。
写真は雨漏りが止まってからでは撮れないので、被害が出ている最中に撮るのがベストです。
早めに管理会社または大家さんに連絡する
応急処置をしたら、すぐに管理会社または大家さんに連絡を入れましょう。
その際には、雨漏りの場所、発生時刻、写真や動画のデータも一緒に伝えると、対応がスムーズになります。
早期連絡が修繕の早期対応にもつながります。
放置してしまうと「報告が遅れた」として対応を後回しにされる場合もあります。
賃貸物件で雨漏りが繰り返すときの管理会社や大家さんへの対処法
雨漏りが起きたときは、管理会社や大家さんとの連携がとても重要です。適切な報告の仕方や伝えるべき内容について解説します。
被害状況を写真付きでわかりやすく報告する
口頭だけでは伝わりにくい被害状況も、写真を添えることでより明確になります。
雨漏りの場所、広がり、水の量などが一目でわかるように写真を複数枚送ると親切です。
「いつ、どこで、どれくらいの被害が出たか」が相手に伝わるように工夫しましょう。
LINEやメールで写真を送る際には、簡単な説明文もつけるとより丁寧です。
いつから雨漏りしているかの時系列を伝える
「何日前から漏れていた」「いつ初めて気づいた」など、時系列で経過を整理して伝えると管理側の対応もスムーズです。
再発の場合は、「前回の修理後から●日後に再発」といった情報も忘れずに伝えましょう。
時間経過を明確にすることで、管理側の責任範囲が判断しやすくなります。
記録は日付入りのメモやメール履歴で残しておくと安心です。
過去の修繕履歴があれば確認・共有する
以前にも同じ箇所で修理が行われていた場合、その履歴を伝えることで再発原因の特定につながります。
入居時や前回修繕時の記録が残っていれば、写しを送付するのが効果的です。
「また同じ場所が漏れた」という証拠にもなり、責任の所在が明確になります。
長期間放置されていた場合には改善を求める根拠にもなります。
対応が遅い場合は「建物の瑕疵」に基づき交渉する
管理会社や大家さんが対応してくれない場合は、「建物の瑕疵(欠陥)」に基づいて法的な交渉を検討しましょう。
賃貸借契約において、雨漏りのような重大な不具合は貸主の修繕義務に該当します。
国土交通省や消費者センターに相談することも選択肢のひとつです。
泣き寝入りせず、記録と証拠をもとに冷静に対応しましょう。
賃貸物件で雨漏りが繰り返す場合に知っておきたい修繕義務と責任
雨漏りが繰り返される場合、誰が修理をするべきなのか、費用負担はどうなるのかが気になるところです。ここでは、法律やガイドラインに基づいた修繕義務や責任の所在について解説します。
基本的な修繕義務は貸主(大家)が負う
建物の構造的な問題や老朽化による雨漏りは、原則として大家(貸主)の修繕義務になります。
賃貸借契約では、「借主に通常の使用を可能にする義務」が貸主にあるとされています。
つまり、雨漏りなどの不具合があるままでは、貸主の契約違反になる可能性があります。
このため、修理を求める正当な権利が借主にはあります。
自然劣化や構造的問題による雨漏りは借主に責任なし
経年劣化や施工ミスなど、借主の使い方に関係のない問題から起こる雨漏りについては、借主に責任はありません。
また、誤って家具などを濡らしたとしても、補償の義務は貸主にあるケースが多いです。
ただし、自己判断で勝手に修理を行うと費用の返還が受けられない可能性もあるので注意しましょう。
まずは必ず管理会社や大家へ相談することが先決です。
借主の不注意による破損などは修理費用を負担する可能性がある
一方で、借主の過失による雨漏り、たとえば物をぶつけて窓を壊したり、防水シートを剥がしてしまったりした場合は、借主側が修繕費を負担する可能性があります。
また、雨漏りに気づいたのに放置して被害を広げてしまった場合も、損害拡大分について責任を問われることがあります。
状況に応じた適切な対応が、自身を守ることにもつながります。
何か起きたらすぐに報告し、責任の所在をはっきりさせましょう。
国土交通省の「原状回復ガイドライン」に沿って確認する
雨漏りの修繕や責任について迷ったときは、国土交通省が出している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参考にしましょう。
このガイドラインでは、自然劣化や通常使用による損耗は貸主の責任であると明記されています。
トラブルが起きたときの交渉材料にもなるので、一度目を通しておくと安心です。
PDFで公開されており、誰でも無料で閲覧できます。
賃貸物件の雨漏りが繰り返すのを防ぐための予防対策とチェックポイント
雨漏りは起きてからの対処だけでなく、日頃からの予防もとても大切です。ここでは、入居前後にできる雨漏り予防のチェックポイントを紹介します。
入居前に屋根・壁・窓まわりを目視で確認する
内見のときや入居前には、屋根や外壁に大きなひび割れやサビがないか、窓枠に隙間やカビがないかなどを目視でチェックしましょう。
特に、築年数の古い物件では、外観の状態がそのまま雨漏りリスクの指標になります。
「気になる点は入居前に必ず確認し、契約前に質問することが大切」です。
不安な点があれば、管理会社に修繕済みかどうか聞いてみましょう。
ベランダの排水口の定期清掃をする
ベランダに落ち葉やゴミが溜まっていると、排水口が詰まりやすくなり、水があふれて雨漏りの原因になります。
定期的に掃除をしておくことで、雨の日でも安心して過ごすことができます。
排水口の詰まりは自己管理の範囲とされることが多いため、注意が必要です。
月に1回程度の掃除を心がけましょう。
室内の天井や壁に異変がないか月1でチェックする
天井や壁紙にシミができていないか、カビのような臭いがしないかを定期的に確認することも重要です。
少しの異変でも早期に気づけば、大きな被害を防ぐことができます。
「いつもと違う」と感じたときが、行動のタイミングです。
特に雨の後は、必ずチェックする習慣をつけましょう。
雨漏りしやすい物件の口コミや評判を事前に調べる
物件を選ぶときは、不動産サイトの口コミや近隣住民の評判を調べてみるのも有効です。
「雨漏りした」「対応が遅かった」などの口コミがある場合は、注意が必要です。
ネット上の情報だけでなく、現地の環境や管理体制も含めてチェックしましょう。
良い物件選びが、トラブルのない生活への第一歩です。
賃貸物件で雨漏りが繰り返すときに役立つ火災保険や補償の対処法
雨漏りによる被害は、火災保険などの保険で補償される場合があります。入居時に保険に加入している方は、内容を確認して上手に活用しましょう。
契約時に加入した火災保険の補償範囲を確認する
賃貸契約の際に加入する火災保険には、火災だけでなく水濡れや水漏れに対する補償が含まれている場合が多いです。
特に「建物付属設備の損害」「家財の損害」に対する補償内容をチェックしましょう。
保険の種類や契約内容によって対応可否が異なるため、契約書や保険証券を見直すことが大切です。
保険会社に問い合わせれば、補償範囲を丁寧に教えてくれます。
家財への被害があれば保険で補償される可能性がある
雨漏りによって家具や家電が濡れて壊れてしまった場合、火災保険の「家財補償」で修理費や買い替え費用が支払われることがあります。
濡れた家財の写真や購入時のレシートがあると、補償申請がスムーズになります。
被害を証明するためにも、被害状況を詳しく記録しておくことが重要です。
使えなくなったものは、保険会社の指示があるまで捨てないようにしましょう。
「借家人賠償責任保険」で対応できるかも確認する
万が一、借主の不注意で雨漏りを引き起こしてしまった場合でも、「借家人賠償責任保険」に加入していれば補償される可能性があります。
この保険は、借主が建物に損害を与えた場合の修繕費用を補償してくれる保険です。
入居時に自動的に加入していることが多いため、保険内容をしっかり確認しましょう。
借主自身を守るためにも、定期的な見直しをおすすめします。
保険会社に早めに連絡して申請手続きを進める
保険を使う場合は、なるべく早く保険会社に連絡しましょう。遅れると申請期限を過ぎてしまうことがあります。
連絡時には、被害状況の説明や写真、損害額の概算などを伝えるとスムーズです。
保険会社の指示に従って、必要な書類や証拠を提出しましょう。
また、修繕の見積書が必要になるケースもあるため、事前に準備しておくと安心です。
賃貸物件で雨漏りが繰り返すことによる生活への影響とストレス対処法
雨漏りは単なる建物の問題ではなく、住んでいる人の心と体にも悪影響を及ぼします。ここでは、雨漏りが与える生活面の影響と、ストレスを軽減する方法を紹介します。
カビや湿気による健康被害が起こりやすい
雨漏りによって湿度が高くなると、カビが発生しやすくなります。カビはアレルギーや喘息の原因にもなります。
特に小さなお子さんや高齢者のいる家庭では注意が必要です。
健康被害を防ぐためにも、早めの対応と定期的な換気・除湿が大切です。
市販の除湿器や除湿剤も活用しましょう。
家具や家電の損傷リスクが高まる
濡れてしまった家具や家電は、変色やサビ、腐食の原因となります。
電子機器が水に濡れるとショートや故障の恐れもあり、買い替えが必要になることもあります。
被害を防ぐためには、雨の日の前に念のため移動させるなどの工夫が重要です。
特に窓や天井の下に置かないように心がけましょう。
精神的なストレスが積み重なりやすい
毎回の雨のたびに不安になったり、修理が進まず不満がたまることで、精神的なストレスが蓄積されます。
長期化すると、日常生活にも支障をきたしかねません。
第三者(消費者センターや弁護士など)に相談することで、気持ちが楽になることもあります。
悩みを抱え込まず、誰かに話すことも大切です。
生活環境の改善のために引っ越しを検討するのも選択肢
繰り返される雨漏りが改善されない場合、思い切って引っ越しを検討するのもひとつの選択肢です。
特に健康被害や精神的負担が大きい場合は、快適な生活のためにも早めの行動が重要です。
引っ越しの費用やタイミングについては、管理会社と交渉できる可能性もあります。
安心して暮らせる環境を見つけることが、なによりの対策です。
まとめ|賃貸物件で雨漏りが繰り返す原因と対処法を知ってトラブルを防ごう
雨漏りが繰り返される背景には、建物の劣化や構造的な問題が隠れています。
原因を知れば早めの対処ができる
屋根やベランダ、配管など、それぞれの原因を知っておくことで、迅速な対応が可能になります。
見逃しやすいポイントを把握し、適切な対応を心がけましょう。
正しい初期対応が被害の拡大を防ぐ
応急処置と早めの報告、記録の徹底が、トラブルの深刻化を防ぎます。
冷静に行動し、記録を残すことが重要です。
貸主との適切な連携でスムーズに修繕できる
丁寧な報告と履歴の共有、保険の活用で、スムーズな修繕や補償が期待できます。
貸主や管理会社としっかり連携して、迅速な対応を求めましょう。
保険や知識を活用して安心して生活できる
火災保険や借家人賠償責任保険など、もしものときの備えをしっかり整えておくことで安心して暮らせます。
事前の知識と行動が、安心な賃貸生活を守るカギです。
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