雨漏りを大家が直さないときの正しい対処法と知っておくべき法律知識
コラム 2025.7.18
賃貸物件に住んでいて、ある日突然天井から水がぽたぽた…。雨漏りが発生したのに、大家さんがすぐに対応してくれないと、とても不安になりますよね。
この記事では、そんなときに借主としてどう対処すればよいのか、契約や法律のポイント、連絡の仕方、相談機関、家賃減額の可能性まで、詳しく解説します。
「雨漏りを直してくれない…」そんなときでも、冷静に正しいステップを踏むことで、自分を守ることができます。
雨漏りを大家が直さないときにまず確認すべきポイント

まずは感情的にならず、冷静に状況を整理しましょう。以下の4つの確認事項を押さえることが重要です。
契約書に修繕義務の記載があるか確認する
最初に確認すべきは、賃貸契約書の内容です。特に「修繕義務」や「原状回復」に関する条項に注目しましょう。
契約書に「貸主(大家)が修繕を行う」と記載されていれば、修繕は大家の責任です。
また、細かい条件や例外が書かれている場合もあるため、必ず隅々まで目を通しましょう。
わからない場合は、不動産会社や専門家に確認するのも一つの方法です。
雨漏りの発生箇所と状況を写真で記録する
雨漏りが発生したら、まずその状況を写真に撮って記録しておきましょう。
写真は証拠になります。雨水の量やシミの広がり方など、できるだけ詳細に記録してください。
スマートフォンで撮るだけでも十分ですが、できれば時間帯や天候の状況もメモしておくとよいでしょう。
後から「そんな被害はなかった」と言われるのを防ぐためにも、証拠はとても大切です。
過去に同様のトラブルがあったか調べる
物件や大家さんに過去のトラブルがなかったかを確認することも重要です。
たとえば、インターネットのレビューや掲示板、SNSで「この物件 雨漏り」などと検索してみましょう。
もし過去にも同様の問題があったなら、修繕対応が遅い傾向があることを予測できます。
また、他の入居者と連絡が取れるなら、共有部分でのトラブルがないか聞いてみるのもよいです。
共用部分か専有部分かを確認する
雨漏りが起きている場所が「共用部分」か「専有部分」かによって、責任の所在が変わることがあります。
たとえば、屋根や外壁など建物全体に関わる場所は共用部分で、大家側の修繕義務になります。
一方で、部屋の内部の設備(たとえば個人で設置したエアコン周辺)である場合、対応が変わることもあります。
判断がつかない場合は、不動産管理会社に確認しましょう。
雨漏りを大家が直さない場合の法律上のルールとは?
法律的には、大家には建物を安全に保つ義務があります。以下の法律に基づいて借主の権利を知っておきましょう。
民法第606条により修繕義務は大家にある
民法第606条では、賃借人には「賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務」があると定められています。
雨漏りがある状態は、建物の使用価値が損なわれている状態です。つまり、この条文に基づき、修繕義務は大家にあります。
大家が修繕を放置することは、契約違反となる可能性もあります。
借主が無理に修理を行う前に、法的根拠に基づいて要求しましょう。
借地借家法により借主は安全に住む権利がある
借地借家法は、賃貸住宅に住む人の生活を守るための法律です。
安全で快適な住まいを提供することは、貸主の義務であり、借主の権利です。
雨漏りは、生活環境に直接悪影響を与えるため、この法律の趣旨にも反します。
もしも健康や安全が脅かされるような状況であれば、法的に強い対応を取ることができます。
雨漏りが原因で生活に支障が出た場合は損害賠償請求もできる
雨漏りによって家財が壊れた、健康を害した、仕事ができなくなったといった場合、損害賠償を請求できることもあります。
損害の内容を具体的に記録し、因果関係を明確にすることで、法的請求が可能になります。
医師の診断書や壊れた家電の修理費用の領収書など、証拠を揃えておくことが大切です。
このような対応をするには、弁護士の助言も有効です。
雨漏りを大家が直さないときの連絡方法と伝え方のコツ

口頭だけでは証拠が残らないため、連絡方法にも注意が必要です。以下のような工夫でより確実に対応してもらえる可能性が高まります。
書面やメールなど記録が残る形で伝える
電話で伝えるだけでは、後から「そんな連絡はなかった」と言われる可能性があります。
できるだけ書面やメール、LINEのメッセージなど、証拠が残る形で伝えましょう。
送った日時も記録しておくと、後々有利になります。
内容証明郵便を使えば、法的にも強い証拠になります。
写真や動画を添えて状況を具体的に説明する
文章だけでなく、写真や動画を添えることで、状況が伝わりやすくなります。
たとえば、「壁にシミがある」よりも、「実際の写真を見せる」方が説得力があります。
動画で水滴の落ちる様子などを記録すれば、より具体的な訴えができます。
これにより、大家の対応が早くなることも期待できます。
修繕の希望時期や対応期限を明確に伝える
いつまでに直してほしいのか、明確に伝えることが重要です。
「できるだけ早く」ではなく、「〇月〇日までに修繕をお願いします」と期限を設定しましょう。
期限を設けることで、大家側も具体的な対応を取りやすくなります。
それでも対応がない場合は、次のステップ(相談機関や法的対応)に進む判断材料にもなります。
雨漏りを大家が直さないときに賃借人ができる応急処置
大家の対応を待つ間にも、雨漏りは進行してしまいます。大切な家財や自分の安全を守るために、自分でできる応急処置をしておきましょう。
バケツやタオルで水の拡がりを防ぐ
最も基本的な応急処置は、漏れている場所にバケツや洗面器を置くことです。
また、床が濡れないようにタオルや新聞紙を敷いておきましょう。
水が溜まったらすぐに捨てることで、床材へのダメージを防ぐことができます。
音が気になる場合は、バケツの中に雑巾を入れると静かになります。
家具や家電を濡れない場所に移動する
雨漏りが当たる場所にある家具や家電製品は、できるだけ早く安全な場所に避難させましょう。
特に電化製品は、水に濡れるとショートして火災の原因にもなるので注意が必要です。
家具も水を吸ってしまうと変形やカビの原因になります。
カーテンやカーペットも忘れずに、必要なら取り外しましょう。
防水テープやブルーシートで一時的に雨水を遮断する
屋内に水が入り込まないように、ブルーシートや防水テープを使って雨水の侵入を防ぎましょう。
窓のサッシ部分やヒビ割れた壁などからの浸水には、防水テープが有効です。
ブルーシートを使う際は、重しを置いて風で飛ばされないようにしてください。
これらはすべて一時的な処置ですが、大きな被害を防ぐのに役立ちます。
ホームセンターで買える防水スプレーを使う
軽度の雨漏りであれば、防水スプレーを使って一時的に水の侵入を防ぐこともできます。
屋内用の防水スプレーや防水パテは、ホームセンターやネットでも購入できます。
ただし、使用前には換気を良くし、取り扱い説明をよく読んでから使用しましょう。
根本的な解決にはなりませんが、応急的な処置として役立ちます。
雨漏りを大家が直さないときに相談すべき機関とは?

自分だけで対応しきれない場合は、第三者の専門機関に相談しましょう。法的・行政的な助けを得ることができます。
市区町村の建築住宅課に相談できる
各自治体には「建築住宅課」「住宅政策課」などがあり、住宅トラブルに関する相談を受け付けています。
建物の安全性に関わる問題であれば、行政指導をしてくれることもあります。
特に老朽化が原因と考えられる場合は、調査に来てもらえる可能性もあります。
電話や窓口で気軽に相談できるので、早めに連絡してみましょう。
消費生活センターで賃貸トラブルの助言を受けられる
全国にある消費生活センターでは、賃貸住宅に関するトラブル相談も受け付けています。
専門の相談員が対応してくれ、必要に応じて交渉方法のアドバイスももらえます。
一人で悩まず、第三者の意見を聞くことで、冷静に対処できます。
連絡先は「消費者ホットライン:188」で、最寄りのセンターにつながります。
弁護士に相談すれば法的対応を取れる
状況が深刻で、損害賠償や家賃減額などを検討する場合は、弁護士への相談が有効です。
初回相談が無料の法律相談も増えており、気軽に専門家の意見を聞くことができます。
証拠を揃えておくことで、より具体的なアドバイスが受けられます。
市区町村や法テラスを通じて紹介を受ける方法もあります。
国民生活センターでも対応事例がある
国民生活センターでは、全国から寄せられた賃貸トラブルに関する相談事例を公表しています。
自分と似た状況の対応方法を知る手がかりになるかもしれません。
トラブル事例集はウェブサイトで無料で確認できます。
参考にしながら、冷静かつ適切に対処していきましょう。
雨漏りを大家が直さないときに家賃を減額できる?
生活に支障をきたすほどの雨漏りがある場合、家賃の減額を求めることもできます。法的根拠とその方法について解説します。
賃料減額請求権が認められる場合がある
民法第611条では、「借主が使用できない部分がある場合、賃料を減額できる」とされています。
雨漏りにより居住空間が損なわれているなら、家賃の一部を減らしてもらう交渉が可能です。
ただし、いきなり支払いを止めると契約違反になる可能性もあるため、事前に法的助言を受けましょう。
大家との交渉の記録を残すことも大切です。
雨漏りで部屋の使用が制限されると居住価値が下がる
たとえば寝室やリビングで雨漏りが起きた場合、その部屋を十分に使えない状態になります。
これは明らかに居住価値の低下であり、家賃の減額理由になります。
一度専門家に相談してから対応を進めるのが安全です。
家賃の一部を供託する方法もある
どうしても交渉が進まない場合、家賃の一部を「供託」するという方法があります。
供託とは、法務局に家賃を一時的に預ける手続きです。
これにより「家賃を払っていない」と大家に言われるリスクを避けながら、修繕を促すことができます。
供託は手続きが複雑なため、弁護士や司法書士に相談するのがよいでしょう。
まとめ:雨漏りを大家が直さないときは冷静に対処しよう
雨漏りが起きても、慌てず冷静に対応することが大切です。以下のポイントを参考に、トラブルを最小限に抑えましょう。
まず契約内容と状況を整理する
賃貸契約書を確認し、修繕義務の有無や対応範囲を整理しましょう。
同時に、雨漏りの状況を正確に記録することも大切です。
最初の対応が、その後のトラブル回避につながります。
客観的な視点で、落ち着いて状況を把握しましょう。
証拠を集めて記録を残す
写真や動画、メッセージのやり取りなどをすべて記録として残しておきましょう。
後から言った言わないのトラブルを防ぐためにも、証拠はとても重要です。
連絡手段は必ず書面やメールを利用しましょう。
証拠があることで、法的にも有利になります。
法律や相談機関を活用して適切に対応する
どうしても対応が進まない場合は、専門家や行政機関に相談しましょう。
消費生活センターや弁護士、国民生活センターなど、頼れる場所は多くあります。
一人で抱え込まず、周囲の力を借りて適切な対応を行いましょう。
早めの対応が、後々の大きな被害を防ぎます。
外壁調査や雨漏り調査、外壁のメンテナンスはユニースにお任せください
今回この記事では、雨漏りを大家が直さないときの正しい対処法について解説いたしましたが、この記事を機に雨漏り調査をはじめとしたメンテナンスを検討している方もいらっしゃるかと思います。
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もし雨漏りを治してもらえない賃貸にお住まいの方は、是非大家や管理組合にこちらの記事をご覧に入れてください。ご相談もお気軽にどうぞ。