コンクリート建物の雨漏りの見つけ方を解説|原因箇所と調査方法
コラム 2026.8.21
「コンクリート造だから雨漏りとは無縁」と思われがちですが、実際にはRC造(鉄筋コンクリート造)のビルやマンションでも雨漏りは頻繁に発生します。しかもコンクリート内部を水が伝って移動するため、室内に染みが出た場所と実際の浸入口が離れていることが多く、原因の特定が木造以上に難しいのが特徴です。原因が分からないまま部分的な補修を繰り返しても、雨漏りは止まらないばかりか、鉄筋の腐食や爆裂といった構造的な劣化を進行させてしまいます。本記事では、RC造建物のオーナー様・管理者様に向けて、コンクリート建物の雨漏りの見つけ方、確認すべきポイント、散水調査や赤外線調査といった専門的な調査方法、そして放置した場合のリスクを分かりやすく解説します。
コンクリート建物でも雨漏りが起きる理由

鉄筋コンクリート造は耐久性や耐火性に優れた構造ですが、防水性能そのものはコンクリート単体で担保されているわけではありません。コンクリートは乾燥収縮や温度変化、地震などの揺れによってひび割れが生じやすい素材であり、そのひび割れが雨水の浸入経路になります。また、屋上の防水層やサッシ周りのシーリング材など、防水を担う部材には寿命があり、メンテナンスを怠れば必ず劣化します。
コンクリートは水を通す素材である
意外に思われるかもしれませんが、コンクリートは完全な防水材ではありません。コンクリート内部には微細な空隙が存在し、ひび割れがなくても長期間水に触れ続ければ徐々に水分を吸収します。さらに幅0.3mmを超えるようなひび割れが生じると、雨水は毛細管現象や水圧によって内部へ浸入し、鉄筋に到達します。だからこそRC造建物では、防水層や塗膜、シーリングといった「防水の仕組み」を健全に保つことが不可欠なのです。
雨水は建物内部を伝って移動する
RC造の雨漏りで厄介なのは、浸入した雨水がコンクリートの躯体内部や配管・電気配線のルートを伝い、浸入口から離れた場所に染み出す点です。たとえば屋上のひび割れから入った水が、階下の壁面や照明器具の周りから出てくるケースは珍しくありません。天井の染みの真上を補修しても雨漏りが止まらないのはこのためで、原因箇所の特定には建物全体を見渡す視点と専門的な調査が必要になります。
経年劣化と雨漏りリスクの関係
築年数が経過した建物ほど、防水層の耐用年数超過、シーリングの硬化・破断、コンクリートの中性化といった劣化要因が重なり、雨漏りリスクは高まります。特に大規模修繕の周期を延ばしている建物や、屋上・外壁の点検を長年実施していない建物では、複数の浸入口が同時に存在していることもあります。定期的な点検で劣化のサインを早期に捉えることが、結果的に修繕費用の抑制につながります。
雨漏りの浸入口になりやすい5つのチェックポイント
コンクリート建物の雨漏りには、発生しやすい定番の箇所があります。ここでは、オーナー様や管理者様が目視で確認できる代表的な5つのポイントとして、ひび割れ、打継ぎ部、屋上防水層、サッシ周り、爆裂を取り上げます。すべてを自力で修理する必要はありませんが、どこに異常があるかを把握しておくだけでも、業者への相談がスムーズになり、調査の精度も上がります。
外壁のひび割れ(クラック)と打継ぎ部
外壁のひび割れは雨水浸入の最も代表的な経路です。髪の毛ほどの細いヘアクラックは直ちに雨漏りへつながるとは限りませんが、幅0.3mm以上、深さのあるひび割れや、開口部の角から斜めに伸びるひび割れは要注意です。また、コンクリートを打設した際の継ぎ目である「打継ぎ部」は構造的に一体化しにくく、シーリングや止水処理が劣化すると水の通り道になりやすい箇所です。外壁を見上げて、水平方向に走る線状の汚れや白い析出物(エフロレッセンス)が出ていないか確認してみてください。
屋上・陸屋根の防水層とドレン周り
RC造のビルやマンションの多くは陸屋根で、屋上の防水層が雨水を防ぐ最前線です。防水層の膨れ・シワ・破断、立ち上がり部の剥がれ、トップコートの摩耗は劣化のサインです。また、排水ドレンが落ち葉や土埃で詰まると屋上に水が滞留し、防水層に想定以上の水圧がかかって劣化を早めます。防水層の上に雑草が生えている場合は、根が防水層を貫通している恐れがあるため特に注意が必要です。ドレン周りと防水層の端部は、雨漏り調査でも真っ先に疑われる箇所です。
サッシ周りのシーリングと爆裂
窓サッシとコンクリートの取り合い部分は、シーリング材で防水されています。シーリングは紫外線や建物の動きによって痩せ・ひび割れ・剥離が進行し、劣化すると隙間から雨水が浸入して窓周りの雨漏りやカビの原因になります。指で押して弾力がなくなっていたら交換時期のサインです。もうひとつ見逃せないのが「爆裂」です。爆裂とは、コンクリート内部の鉄筋が錆びて膨張し、かぶりコンクリートを内側から押し割って剥落させる現象で、鉄筋が露出している状態は雨水がすでに内部へ達している証拠です。外壁や庇、バルコニーの裏側にコンクリートの浮きや剥がれ、錆汁の跡がないか確認しましょう。
専門業者による雨漏り調査の方法と費用
目視で怪しい箇所を絞り込んだら、次は浸入口を確定させる専門調査の出番です。RC造の雨漏りは経路が複雑なため、目視だけで原因を断定するのは困難であり、誤った箇所を補修してしまうと費用が無駄になります。代表的な調査方法である散水調査と赤外線調査を中心に、それぞれの特徴と費用の目安を解説します。
散水調査の仕組みと特徴
散水調査は、疑わしい箇所に実際に水をかけて雨の状況を再現し、室内側への浸水を確認することで浸入口を特定する方法です。雨漏りを直接再現するため確実性が高く、原因特定の決め手になりやすいのが最大の長所です。一方で、浸入経路によっては水をかけてから室内に現れるまで時間がかかることがあり、複数箇所を順番に検証するため半日から1日程度を要します。足場や高所作業車が必要な高層部の調査では、その分の費用が加算される点も考慮しておきましょう。
赤外線サーモグラフィー調査の仕組みと特徴

赤外線調査は、サーモグラフィーカメラで建物表面の温度分布を撮影し、雨水を含んで温度が周囲と異なる部分を可視化する方法です。建物に触れずに広範囲を短時間でスクリーニングできるため、高所や広い外壁面の調査に向いており、タイルの浮きなど外壁劣化の把握にも活用できます。ただし天候や日射条件に結果が左右されることや、温度差として現れない浸水は検出しにくいことから、赤外線調査で範囲を絞り込み、散水調査で浸入口を確定するという併用が実務では効果的です。
調査方法の比較と選び方
主な調査方法の特徴を整理すると次のとおりです。費用は建物の規模や調査範囲、足場の要否によって変動するため、あくまで一般的な目安として捉えてください。
| 調査方法 | 内容 | 費用の目安 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 目視調査 | 専門家が劣化箇所を目視・打診で確認 | 無料〜数万円程度 | 初期の状況把握、劣化箇所の洗い出し |
| 散水調査 | 疑わしい箇所に散水し雨漏りを再現して浸入口を特定 | 数万円〜15万円程度 | 浸入口を確定させたい場合、補修前の最終確認 |
| 赤外線調査 | サーモグラフィーで温度差から浸水範囲を可視化 | 数万円〜20万円程度 | 高所・広範囲のスクリーニング、外壁劣化の把握 |
雨漏り調査全体の費用相場はおおむね5万円〜20万円前後とされます。調査費用を惜しんで原因不明のまま補修すると、再発と再補修で結果的に高くつくことが多いため、まずは原因特定に投資することをおすすめします。
コンクリート建物の雨漏りを放置するリスク
「染みが小さいからまだ大丈夫」と雨漏りを後回しにするのは、RC造建物にとって非常に危険です。雨水の浸入は目に見える汚損だけでなく、建物の構造体そのものを内側から蝕んでいきます。ここでは放置によって生じる代表的なリスクを整理します。
鉄筋の腐食と爆裂による構造劣化
コンクリートは本来強いアルカリ性で鉄筋を錆から守っていますが、雨水と空気の浸入や中性化の進行によってこの保護機能が失われると、鉄筋は腐食を始めます。錆びた鉄筋は体積が膨張し、周囲のコンクリートを押し割って爆裂を引き起こします。爆裂によってコンクリート片が剥落すれば、通行人や入居者に危害を及ぼす落下事故につながりかねず、建物の耐久性・耐震性も損なわれます。雨漏りは仕上げ材の問題ではなく、構造体の劣化を加速させる現象だと認識することが重要です。
修繕費用の増大と二次被害
雨漏りの初期段階であれば、シーリングの打ち替えや部分的な防水補修で対応できることが多いものの、放置して浸水範囲が広がると、防水層の全面改修や躯体の断面修復といった大掛かりな工事が必要になり、費用は大きく膨らみます。さらに、天井裏や壁内の湿気はカビの繁殖や断熱材の劣化、漏電による火災リスクといった二次被害も引き起こします。賃貸物件であれば入居者の家財への損害賠償や退去につながる恐れもあります。
資産価値と入居率への影響
雨漏りの履歴や染み・カビの跡は、内見時の印象を大きく損ない、空室率の上昇や賃料下落の要因になります。売却時にも雨漏りは告知すべき事項であり、修繕されていない雨漏りは査定額に直接影響します。建物の維持管理状態は資産価値そのものであり、雨漏りへの迅速な対応は収益物件の経営判断としても合理的です。早期発見・早期対応こそが、建物の寿命と資産価値を守る最善策といえます。
まとめ
コンクリート建物の雨漏りは、外壁のひび割れや打継ぎ部、屋上防水層とドレン周り、サッシ周りのシーリング、そして爆裂といった箇所から発生しやすく、浸入した雨水が躯体内部を伝うため原因特定が難しいのが特徴です。まずは本記事で紹介したチェックポイントを目視で確認し、異常が疑われる場合は散水調査や赤外線調査を組み合わせた専門調査で浸入口を確定させることが、確実な修繕への近道です。雨漏りの放置は鉄筋の腐食・爆裂による構造劣化、修繕費用の増大、資産価値の低下を招くため、小さなサインの段階で行動することが何より大切です。
株式会社ユニースでは、建物調査から防水工事、外壁保全まで、RC造のビル・マンションの雨漏りに関するご相談を一貫してお受けしています。「原因が分からない」「どこに頼めばよいか迷っている」という段階でも、建物の状態を丁寧に診断し、最適な調査・補修プランをご提案いたします。雨漏りのサインに気づいたら、被害が広がる前にぜひ一度ご相談ください。