マンションの大規模修繕で多いトラブルとは?よくあるトラブルを知って、事前の対策を!
コラム 2022.11.9
マンションの大規模修繕は予算、人、期間の規模が大きいこともあり、トラブルが発生しがちです。この記事では、マンションの大規模修繕工事で起こりやすい3つのトラブルや事前にできる対策について紹介していきます。
マンションの大規模修繕工事で多い3つのトラブルとは?
騒音・臭いトラブル
仮設工事を行っていると、大きな音や異臭が発生することがあり、それがトラブルの原因になります。
例えば足場を組み立てる際、倒壊を食い止めるための壁つなぎという部品が取り付けられます。壁つなぎを取り付けるために使われるのは電動ドリルで、それから大きな音が発生します。
塗装工事ではサビや腐食の補修、外観維持のために揮発性のシンナーを含む塗料が使われますが、シンナーの発する異臭が居住者に不快感を抱かせてしまうことがあります。
コミュニケーションのトラブル
マンションの大規模修繕では居住者はもちろん、近隣に住む人々の生活にも大きな制約を与えるため、事前に我慢や配慮のお願いをする必要があります。事前に近隣の住宅街やマンションの部屋ひとつひとつに伺い挨拶をするなどの対応を欠いていると、居住者や近隣の住民から見て「勝手に工事を始めた」という印象を与えます。こうしたコミュニケーション不全から発生する不満がよくあるトラブルの一つになります。
マンション大規模修繕のような大掛かりな工事は、近隣にお住まいの方にとっても大きな関心事です。数か月に渡る工事期間中、日によっては生活道路に工事車両が止まって通りづらくなったり、また、工事の音や臭いにストレスを感じる方が出てくるかもしれません。
費用のトラブル
工事を進めていくと、新たに補修する必要のある個所が見つかることがあります。
この場合、追加工事と追加費用が新たに発生しますが管理組合と施工会社の間で合意がないまま完了時に請求されたことによりトラブルが発生することがあります。
また、工事費が予算をオーバーすると修繕積立金を支払うことがあります。しかし、修繕計画が甘いと言い、追加徴収を拒む住民が出るなどのトラブルもあります。
大規模修繕でのトラブルは他にも…… 大規模修繕準備段階で起こるトラブル
管理組合の意見がまとまらない
大規模修繕工事を行う際、マンションは管理組合を結成し、その会が代表で工事の方向性を固めていきます。ですが、管理組合の中で一部の意見のみが押し通ったりするなどで公平性が失われていくと、方針が定まらずに工事自体が進まなくなってしまうことがあります。
修繕積立金が不足している
大規模修繕工事の費用は、区分所有者や住民が毎月納める修繕積立金から集めます。修繕積立金の予算は各管理組合が作成する長期修繕計画に基づいて算出されますが、この計画書の見積もりが甘いと修繕積立金が不足することがあります。また、居住者が修繕積立金を支払わないことも積立金の不足につながります。
悪質なコンサルタントによるトラブル
悪質なコンサルタントによりトラブルが発生するというケースもあります。
悪質なコンサルタントは施工会社と癒着することで工事費用を吊り上げ、賄賂を得ようとします。工事費用の水増しをするほかにも不要な工事を行うことを促し、追加請求を発生させるなどの手を取ることでマンションから違法にお金を巻き上げようとします。
大規模修繕中によく起こるトラブル
居住者が大規模修繕に非協力的
大規模修繕工事を行う際はマンションの居住者に理解と我慢をしてもらう必要があります。
ですが、居住者によっては大規模修繕工事自体が不必要だと考え、非協力的な態度をとったり、工事を邪魔してくる人がいます。
防犯、プライバシーの問題
大規模修繕工事を施工する際は作業をするために足場を組み立てます。この足場に補助錠などを掛けなかった結果、足場を利用した空き巣が発生したというトラブルがあります。また、足場を立てて施工をしていると、どうしても窓から室内が見えてしまいます。作業員は室内を見ないように作業を行いますが、プライバシーを侵されたのではないかという不安から苦情が出ることがあります。
近隣住民とのトラブル
マンションの居住者から理解を得たけれども、近隣の住民に工事の話を忘れていたというケースがよくあります。マンションの大規模修繕はマンションの周囲にも異臭や騒音を発生させますし、工事車両や業者の出入りが発生することもあります。これらの問題から近隣住民との間にトラブルが発生することがあります。
予定通りに施工が進まない
工事期間は「予定通りに大規模修繕が始まらなかった」、「想定していた完了時期までに大規模修繕が終わらなかった」と言う2パターンの理由で遅れが発生することがあります。
工事期間が延長になると、住戸の換気が難しかったり、洗濯物を外に干せない期間が長くなるため住民に大きなストレスを与えます。こうした遅れによるストレスがトラブルを発生させる原因になります。
大規模修繕の施工後に起こるよく起こるトラブル
施工不良があった
大規模修繕の施工が終了し数年経過した後に、修繕したはずの箇所にひび割れや雨漏りが発生し、トラブルにつながることがあります。施工個所により耐用年数は変わってきますが、1〜2年の間に不具合が発生した場合、ほとんどは施工不良が原因です。
工事費用の追加請求
マンションの工事費用は事前の見積もりで決まった金額を2〜3回の分割払いで支払います。施工会社はそこに追加の費用を足す必要が出た際、管理組合に確認を行う必要があります。しかし、稀に施工終了後になってから追加費用を請求してくる施工会社があり、そこからトラブルに発展したというケースがあります。
トラブルを回避して円滑にマンションの大規模修繕を進めていくには?
関係者とのコミュニケーション
関係者とのコミュニケーション不全から発生するトラブルは非常に多いです。
何か起こった時、すぐに管理組合に工事の状況を報告できるようにするなど適切なコミュニケーションをとることが関係者トラブルの防止につながります。
大規模修繕委員会の結成
マンションの大規模修繕を行う際は管理組合とは別の大規模修繕委員会を設置しましょう。大規模修繕委員会はマンションの管理組合の仕事を補助する役割を担います。
管理組合は大規模修繕のほかにも遂行すべき仕事があり、大規模修繕計画のフォローに手が回らないことがあります。大規模修繕委員会を結成しておけば、管理組合の代わりに判断資料を準備したり、調査を行うことができます。
施工業者の選定
大規模修繕工事を成功させるための最も大きな鍵は施工会社です。どの施工会社に工事を行ってもらうかは慎重に検討する必要があります。
施工会社は「大規模修繕専門」か、実績があるかなどを基準にして探しましょう。また、マンションの大規模修繕は談合による価格調整が行われやすい傾向があります。談合による価格決定を防ぎたいならマンション関係者と接点がない施工業者に依頼することをおすすめします。また、現場監督のコミュニケーションスキル等はコミュニケーション不全によるトラブルを防ぐことに役立つため、打ち合わせ等でチェックすると役立ちます。
保険の加入
瑕疵(かし)保険は工事を施工した部分に不具合が発生した際に適応できる保険です。この保険を使うと「完成後に発生した不具合の修繕費用の8割が支払われる」、「施工会社が倒産した際は工事費用を全額請求可能」という2つの権利が認められます。瑕疵保険の契約期間は工事の施工が終了してから5年、工事の際の保険会社による調査で加入することができます。
居住者、近隣住民への事前周知
マンションの大規模修繕には居住者や、近隣住民など、多くの人の生活にかかわります。工事を円滑に進めつつも、最大限彼らが普段通りに生活できるように配慮することがトラブルの防止につながります。
修繕工事の内容や時間帯を事前にアナウンスするなど、居住者や近隣住民が工事内容に不安を感じないようにするなどの工夫がストレス軽減につながります。
足場を使わないロープアクセスなら居住者のストレスを抑えての修繕が可能です
以上がマンションの大規模修繕で起こりやすいトラブルとその対策になります。大規模修繕では居住者や近隣住民、管理組合にうまく説明ができなかったことによるストレスがトラブルにつながることが多いです。大規模修繕委員会を結成し管理組合の負担をサポートしたり、関係者、居住者、近隣住民とのコミュニケーションを綿密に行うことがストレスを軽減することに大きく貢献してくれます。
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